イノシシと金 [金の歴史]
戦前、日本人はイノシシに大変、親しみを持っていました。
と言うのも、イノシシを持っていけば、金と交換する事が出来たからです。
と言っても、本物のイノシシではありません。
十円札の事なのです。
かつて、十円札にはイノシシの絵が印刷せれており、俗に十円札の事をこう言っていたのです。
このイノシシには「この券引換に金貨拾圓相渡可申候」と言う趣旨の言葉が印刷されていました。
十円金貨と交換してくれると言う事です。
このように金貨と交換できるお札を兌(だ)換券といいます。
これも、当時、日本が「お札の発行量は金の保有量によって制限される」と言う金本位制をとっていた為です。
現在、日本は金本位制をとっていないので、お札はこのような分言は印刷されません。
最も、現在はお札を地金商に持って行けば誰でも自由に金を買う事が出来ます。
1973年に「金の輸入自由化」が実施された為です。
今、イノシシがあってもあまり大切にされそうにはありません。
世界最大の金貨 [金の歴史]
「金銀が野山から湧き出ずる」と唱われた桃山時代は日本の歴史上最も豪華絢爛だった時代でした。
世界最大の金貨もこの時代に造られました。
豊臣秀吉が造らせた天正長大判というのがそれです。
天正長大判は長さ約17センチ、幅は最大で約10センチで、楕円形をしています。
重さは44.1匁(165グラム)で、金の含有率は約74%で一枚には約122グラムの金が含まれている事になります。
しかし、これほど大きいと不便で専ら贈答用に使われていました。
この、天正長大判は重さの面でも長い間、世界一の座を保っていましたが、1991年ついに、その座を譲り渡しました。
オーストラリアがなんと1キログラムという大変重い「ナゲット金貨」を作ったからです。
重さでは世界一です。
最も、これも実用に適さず「金貨より地金といった方が良いのでは」と日本銀行は言っています。
この声に無念の響きが感じられないでしょうか。